第7章
「本当にやるの?」ジャケットに留められた録音装置を直しながら、由香里が尋ねた。
「ええ、覚悟はできているわ」私は鏡に映る、お気に入りの紺色のスーツを着た自分を見つめた。「あなたは?」
「怖い。でも、準備はできてる」
恵茉と陸はソファに座り、いつになく静かだった。
「おばあちゃん」恵茉が言った。「本当にパパとおじいちゃんのことを、みんなに話しちゃうの?」
――六つの子にどう説明したらいいというのか。物事を正すためには、時に困難なことをしなければならない。そんな大人の事情を。
「本当のことを話すのよ、いい子だから」
「うん」陸が固い声で言った。「僕の先生、嘘つくのは...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


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